サイトで掲載中「Fly Again」のサイドストーリーみたいな。
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「もう限界だね」
「・・・っまだだ・・・っ」
マリスの足元には珍しくヴィスウィルが膝をついていた。それをマリスは色のない表情で見下ろしていた。
ヴィスウィルの顔色はいつも以上になく、整った眉は寄せられている。白い肌にぺったり白銀の髪がつくほど似合わない脂汗をかいて、肩が上下するほど息が上がっていた。
「うそつきだな、ヴィスウィル坊ちゃんは。いくらあんたでもこれだけやったら相当辛いはずだけど?」
「今日やらなきゃ間に合わねーだろうが」
「確かにね。まぁ、やめてやるなんて誰も言ってないけどね?」
にっこりと微笑むマリス。陰が落ちているのは見下ろしているからという理由だけではないだろう。
ヴィスウィルはふらつきながらも立ち上がり、魔法の練習を始めた。
マリスはそれを一時見た後、盛大にため息をついた。
「あーもう、だめだめ。もっと一点に魔力を集中させて。もうちょっと魔力引き出して」
そういって予告もなしにマリスはヴィスウィルを少しいじり、無理矢理彼の中の魔力を引き出す魔法を唱える。
「・・・・っく・・・ぅ・・・・」
「まだ残ってんでしょ、魔力」
苦痛に歪められるヴィスウィルの顔を見ても楽しそうに微笑むばかり。同情さえない。
「らしくないね」
「・・・・っ・・・?」
唐突にマリスの口から出た言葉。もちろんヴィスウィルをねぎらう言葉ではない。
「久々に見たよ、お前がそんなになるまで頑張る姿」
「・・・・・・・」
いつも澄ました顔して、嫌いだった。
もちろん、今も嫌いだ。
大嫌いだ。
綺麗な顔して、何でもできて。
だから、こいつは苦労なんて知らないって、
ずっとずっと思っていたんだ。
「いつ以来かな」
でも違った。
彼はただ、感情を表に出すのが下手なだけだったのだ。
嬉しいときも
淋しいときも
楽しいときも
苦しいときも
悲しいときも
「そんなに大事なのか?あの女」
だから
だから
彼女が眼を閉じた時も
「ああ」
意外にも彼は、はっきりと答えた。
だから「らしくない」って言ったんだ。
「・・・っまだだ・・・っ」
マリスの足元には珍しくヴィスウィルが膝をついていた。それをマリスは色のない表情で見下ろしていた。
ヴィスウィルの顔色はいつも以上になく、整った眉は寄せられている。白い肌にぺったり白銀の髪がつくほど似合わない脂汗をかいて、肩が上下するほど息が上がっていた。
「うそつきだな、ヴィスウィル坊ちゃんは。いくらあんたでもこれだけやったら相当辛いはずだけど?」
「今日やらなきゃ間に合わねーだろうが」
「確かにね。まぁ、やめてやるなんて誰も言ってないけどね?」
にっこりと微笑むマリス。陰が落ちているのは見下ろしているからという理由だけではないだろう。
ヴィスウィルはふらつきながらも立ち上がり、魔法の練習を始めた。
マリスはそれを一時見た後、盛大にため息をついた。
「あーもう、だめだめ。もっと一点に魔力を集中させて。もうちょっと魔力引き出して」
そういって予告もなしにマリスはヴィスウィルを少しいじり、無理矢理彼の中の魔力を引き出す魔法を唱える。
「・・・・っく・・・ぅ・・・・」
「まだ残ってんでしょ、魔力」
苦痛に歪められるヴィスウィルの顔を見ても楽しそうに微笑むばかり。同情さえない。
「らしくないね」
「・・・・っ・・・?」
唐突にマリスの口から出た言葉。もちろんヴィスウィルをねぎらう言葉ではない。
「久々に見たよ、お前がそんなになるまで頑張る姿」
「・・・・・・・」
いつも澄ました顔して、嫌いだった。
もちろん、今も嫌いだ。
大嫌いだ。
綺麗な顔して、何でもできて。
だから、こいつは苦労なんて知らないって、
ずっとずっと思っていたんだ。
「いつ以来かな」
でも違った。
彼はただ、感情を表に出すのが下手なだけだったのだ。
嬉しいときも
淋しいときも
楽しいときも
苦しいときも
悲しいときも
「そんなに大事なのか?あの女」
だから
だから
彼女が眼を閉じた時も
「ああ」
意外にも彼は、はっきりと答えた。
だから「らしくない」って言ったんだ。
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